さて神曲の地獄篇レビューもだんだん佳境に入ってきた。 意外と面白くなるのはこの辺りからだ。 第7歌〜4つ目の谷 第4の谷に入るとプルートンという化け物らしきキャラクターがダンテとウェルギリウ … われを過ぎひとは永遠(とわ)の嘆きに。 ¥ 1,000 (送料:¥250~) 里見安吉 著 、山本書店 、1995 、368p 図版 A5函 定価4800 函の底にB印自由価格新本 デラシネ書房. ⑥ 第六の谷(異端) Toggle navigation. 文学に興味がある人必須!あなたの世界を彩るイタリア文学名著10選 子供たちを悲しませまいと俺は心を静めた、その日もその翌日もみな黙りこくっていた。 そうしたと思い、すぐ立ちあがっていった、 彼は悲嘆のあまりわれとわが腕に喰らいついた。 叙事詩. ダンテ自身が、地獄・煉獄・天国への旅に出るという物語である。「この門をくぐるものは一切の希望を捨てよ」と記された門をくぐって地獄へと足を踏み入れると、そこには文字通りの地獄絵図が広 … ¥ 2,500 (送料:¥600~) 山田慶兒 、編集グループSURE 、2009 、1冊 カバー。書き込み無し。数点のヨゴレはございますが、目立ったキズは無く、概ね良好な状態です。 はなひ堂. 第九圏(コキュートス):裏切者, ちなみに第一圏の入り口にある門に、有名な一言「この門をくぐる者、一切の望みを捨てよ」と刻まれています。, 第七圏から第九圏はさらに細かいゾーンに分けられており、それよりも浅い圏にいた魂たちよりもより重い罪で罰せられています。ダンテの地獄においては「知性を働かせて他人を陥れる罪」がより重いとされています。, 特に「裏切りの行為」は非常に重く、最下層の第九圏においては裏切りを働く対象に分けられて魂が責め苦を受けています。, 地獄で罰を与える存在というと、鬼のことを想像する人も多いかもしれません。キリスト教においては、それが悪魔であるというイメージも強いと思います。, ダンテは地獄にギリシャ神話の登場人物たちを数多く登場させているのです。例えば半人半馬の怪物ケンタウロスは弓矢で武装し、第七圏の第一小圏を守護しています。, とはいえ、ギリシャ神話の登場人物が地獄篇において常に罰を与える側であるとは言えません。例として、神話上の英雄イアソンは愛した女性を裏切り続けたとされ、罰せられる側の存在です。, 地獄という死後の世界は、何もキリスト教世界のみに存在するものではありません。仏教やイスラーム教においても地獄は存在します。, 日本人の多くに馴染みのある仏教について比較してみます。いくつかある相違点のうち、顕著なものは「①地獄からの脱出の可否」と「②罰が重くなる要因」です。, キリスト教において地獄に堕とされた魂は、煉獄や天国に向かうことは出来ないとされています。生前に犯した罪を覆すことはできず、その魂たちは永遠に地獄で責め苦を受けなければならないということです。, 仏教においては地獄に堕とされたとしても、新たな生を受けるチャンスがあります。(輪廻転生), 先述した通り、他人を欺いたり裏切ったりした罪がキリスト教では重く、それらを犯した魂たちは深層で罰せられています。一方で肉欲や食欲などといった本能に基づく罪は比較的軽いものとされています。, 仏教においては、罪が知性に基づくから最も重くなるというわけではありません。宗派による違いもありますが、基本的には殺生の種類と数によって罰の重さが変化するという考え方ができるでしょう。, 『神曲』は、キリスト教世界における死後の世界のイメージを、読者が具体的に想像するための助けとなりえる作品と思います。三部作全てを読むのは大変ですが、地獄篇だけでも手に取ってみることをお薦めします。, またダン・ブラウン原作の映画「インフェルノ」は『神曲』地獄篇が重要なキーワードとして登場します。原作にせよ、映画にせよ、その目でダンテの不思議な旅を御覧になってはいかがでしょうか?, 観たら行きたくなる!トスカーナ・フィレンツェを舞台にした映画5選 永遠のものだけで、われ永遠に立つ。 ここに入るもの望みを捨てよ, 神曲の中の名句の一つであるが、ここでも「われを過ぎて」は三度繰り返されている。地獄の門をくぐるものはここに一切の希望を置いて進めというのである。天、天使達、不滅の諸要素、純粋質料は永遠のものである。しかし、天使ルチフェルは堕落し、その者を幽閉するために地獄はつくられた。それゆえ地獄は永遠に存在する。(第三歌), 地獄は神の義と愛によってつくられた。中国で言う義とは英語の responsibility 、つまり応答できる能力を指していると今道さんは言う。正名(正しい定義)にこだわってきた人らしい。ヨーロッパにおいて、この responsibility という単語は19世紀には哲学辞典にさえない言葉だった。この主体的応答性に客観的な公平が前提とされる時、正義となる。義歯とは正義の歯のことではない。歯の機能に応答してくれるもののことであり、不義とは不正ではなく応答性の負、つまり裏切りであった。人々を善導しようとする神ゆえに、地獄は因果応報の正義を重んじる神の愛の所産であった。ダンテには罪を忌む厳しい思い、裏切りに対する仮借ない怒りがあった。地獄はそのような罪を犯した者が入る絶望の府としたのである。, 地獄は永遠に存在する。そして、そこでは溜息や泣声や声高の叫びが星もない空中に鳴り響いていた。神曲において星とは希望である。希望とは徳目であった。トマス・アクィナス、さらにさかのぼってアウグスティヌスの頃から聖パウロが述べる「信仰」「希望」「愛」は、神に対する徳、対神徳と呼ばれていたのである。地獄は、それが無い嘆きの都市であった。希望の無いところは地獄となる。私たちは、自らに対して、あるいは他者に対して地獄の門になっているかもしれないのである。, アケロン(三途の)川でカロンの渡し場が描かれた後、第四歌に入って、辺獄(リンボ)が歌われる。善良な人々であったが、キリスト教の洗礼を受けられなかったために第一の谷に住まう人々であった。ウェルギリウスは、自分がこの谷に来て間もなく、キリストがアダムやアベル、ノア、モーゼらイスラエルの善良な民とそれに忠実に仕えたものたちを祝福し連れ出したとダンテに語る。それ以前に人の魂が救われた例はないと。, ウェルギリウスは、ホメロス、ホラティウス、オウィディウス、ルカヌスらとしばらく談笑して別れた。高い城壁に七重に囲まれた高貴な城のなかには、エレクトラ、ヘクトル、アエネアス、カエサル、サラディン、それにアリストテレス、ソクラテス、プラトンらギリシアの哲学者や学者たちが次々と現れた。二人は静寂の中から出てゆらめく大気の中に入り、光明の無い場所へと入っていった。(四歌), 二の谷へと入る。その入り口では罪業を吟味するミノスが仁王立ちで歯噛みしている。閻魔大王の役割をしているのだ。その中空には肉欲の罪を犯した者の魂の群れが止むことのない地獄の黒い飈風(ひょうふう)に煽られている。ティドやクレオパトラがいて、パリスやトリスタンが見える。愛ゆえに現世を追われた幾千もの魂たちだった。ダンテはその内の一組に目をとめ、話しかけた。知りたいとお望みならとフランチェスカは話しはじめた。, 「ある日私どもはつれづれに、ランスロットがどうして愛にほだされたか、その物語を読んでおりました、二人きりで別にやましい気持ちはございませんでした。 すると鳥身女面の怪鳥がその葉をついばみ、苦痛を与え、苦痛に排け口を与える。 第四圏:貪欲 あの条(くだり)を読みました時に、この人は、私から永久に離れることのないこの人は、うちふるえつつ私の口に接吻(くちづけ)いたしました。」(125-136/平川祐弘 訳), ラヴェンナの城主グィド・ダ・ポレンタの娘フランチェスカはリーミニの城主ジャンチオット・マラテスタに嫁した。しかし、彼女は騙されて美男の弟パオロと見合いをしたのであり、嫁した後、兄で醜男のジャンチオットの連れ合いになったことを知った。しかし、フランチェスカはパオロと相思相愛になる。そして、二人ともジャンチオットに殺されたのである。(五歌), 大粒の雹や濁った水や雪が降りしきる三の谷、貪欲に飽食をしてきた者たちが三つの頭のある怪物、地獄の番犬ケルべロスに食いちぎられていた場所だった。(六歌), 冥府の神ハデスであり鉱物の守護神でもあるプルートンが現われるがウェルギリウスの一喝で倒れてしまう。四の谷に降りると貪欲な人間と浪費家たちが渦巻きのように互いに逆方向に向かって重い荷物を転がしながら走り、円周上の一点で出会うと互いに罵り合い殴り合ってまた来た道を逆走するのである。青紫よりも暗い色の水が流れ落ちて薄暗い陰惨な崖の下で川はステュクスと言う名の沼になっている。泥まみれの裸体は怒気を含んだ表情でたがいに殴り合い、蹴り合い、歯で相手の肉を噛み千切っている。憤怒に破れたものの魂だった。(七歌), 沼の船頭プレギュアスがダンテとヴェルギリウスを向う岸に渡す。途中、フィレンツェの亡魂フィリッポ・アルジェンティが現われるが体を引き裂かれ汚水の中に沈んだ。そして、二人は地獄の下層ディースの市(まち)に着く。五の谷である。そこの城門には千人余りの悪魔が道を閉ざしていた。(八歌), 三人の復讐の女神エリニュスたちが塔の上に現われた。やがて、天上からの使いが登場して地獄の内門を杖で叩いて開けると悪魔たちを一喝して立ち去った。門の中には至る所に墓があり炎を噴いている。六の谷である。それは異教異端の徒がその派ごとに埋められていたのである。(九歌), 墓所では皇帝党の党首であったファリナータ、そしてダンテの友人の父親カヴァルカンティと会話する。傲岸なファリナータも自己の党派の敗北を知り、そのことが、この焔の床よりも自分を苦しめると叫ぶのだった。(十歌), ウェルギリウスが地獄の分類と地理をダンテに語り、天が許さぬ三つの性質、放縦、邪悪、狂おしい獣性が説明される。そして、高利貸しが神の慈愛に背く理由を説く。(十一歌), 怒りに狂うミノタウロスの横をすり抜けて岩間から道を降りると孤を描いた濠にケンタウロスの群れが見えた。その中の一人ネッソスに血の川を案内させた。そこでは煮えたぎる湯に、人の血を流し産を奪ったものが漬けられていた。アレクサンドロス、シチリアを制したディオニュジオスがいる。深い淵には、アッチラやピロス、セクストゥスらがいた。ここは七の谷の三つの円の一番目である。この七層以下の谷は悪意による罪人が堕ちる地獄でそれ以前の六層に比べてより一層凄惨なものとなる。(十二歌), 七の谷の二番目の円へ到る。自殺者は自分に暴力をくわえた者であり、彼らは、節くれだって曲がった木となる。棘のある一本の大木の枝を折るとどす黒い血にまみれて「なぜ私をひきちぎる」と声がした。ウェルギリウスはダンテにかわってその木の一つに尋ねた。どうしてこのような幹の中に囚われたのだと。, 「激した魂が自らの手で命を絶って肉体から離れた時、ミノスは第七の圏谷(たに)へ、その魂を送り込む。落ちていく先はこの森だが、席は別に定まっていない。 好きな都市はフィレンツェとジェノヴァ。, 高校時代に世界史を勉強した人の中には『神曲』という文字を覚えている人もいるかもしれません。『神曲』は14世紀初頭に完成した叙事詩です。, イタリア・フィレンツェ生まれの詩人ダンテ・アリギエーリによって記されました。キリスト教文学の最高峰とされる作品で、カトリック教会において大きな影響を与えました。, この記事では、カトリック教会、イタリア文化において重要な意味を持つダンテ『神曲』における、地獄篇について、ザックリと解説してみたいと思います!, 物語は著者ダンテ自身が三つの世界を旅するという体裁をとっています。そして今回紹介する地獄篇には古代ローマ時代の詩人ウェルギリウスが先導人として登場します。, ダンテは生前の行いのゆえに罰せられる人々と時に言葉を交わしながら、天国を目指していきます。, また著者ダンテ自身が「イタリア語の祖」と呼ばれる所以もこの『神曲』にあります。その理由は、この作品が当時の教養人の共通語のラテン語ではなくトスカーナの方言で書かれたことによります。, ここで使われたトスカーナ方言が後のイタリア語の成立の源となったことも『神曲』の持つ大きな意義の一つです。, ダンテ・アリギエーリは1265年に貸金業を営む一家に生まれました。修道院付きの学院に通って学問を修めたのち、フィレンツェ共和国の統領の一人に就任しました。, この権力争いはローマ教皇と(神聖)ローマ皇帝という二つの権威による闘争でした。フィレンツェにおいても白派(教皇党)と黒派(皇帝派)に分かれ、権力闘争が展開されていました。, ダンテは前者に属していましたが、黒派の起こしたクーデターによって亡命せざるを得なくなってしまったのです。, 亡命しながら政権奪還を画策する中で、彼は『神曲』の執筆を開始しました。そのままダンテは執筆を続けながら北イタリアの各都市を放浪します。, 1321年、ダンテはラヴェンナで故郷フィレンツェに帰りたいと願いながらその生涯を閉じました。, 『神曲』における最初の物語が地獄篇で、その名の通りキリスト教における地獄を描いています。物語はダンテが暗い森にふと迷い込んでしまうところから始まります。, ウェルギリウスは常に怯えるダンテを叱咤激励し、頼れる先生のような存在です。途中に登場する恐ろしい怪物たちにも怯むことなく果敢に相対します。, なお地獄篇にはダンテを追放に追いやった政敵も数多く登場します。作中で彼らは様々な形で責め苦を受けています。, 筆者の私見ですが、ダンテ本人も彼らに対する私怨を晴らすという目的がなかったわけではなかったのでしょう。, 『神曲』における描写やボッティチェリの『神曲挿絵』などによれば、地獄は漏斗状になっていて九つの圏で構成されています。生前にどのような罪を犯したかによって、どの圏で罰せられるかが決まります。, 例えば、第二圏には淫乱の罪を犯した魂たちが、第四圏には貪欲の罪を犯した魂たちが罰せられています。, 第一圏(辺獄、リンボ):正しく生きたが洗礼を受けなかった者たち 神曲 地獄篇・煉獄篇・天国篇 3冊揃 <講談社学術文庫 2242・2243・2244> ¥ 4,000 ダンテ・アリギエリ [著] 原基晶 訳 、講談社 、2014 、15cm 、3冊 聖物や聖職を、おまえら盗人は 悪魔史における『神曲』 ダンテが「地獄篇」で描いた悪魔サタンの姿, 『神曲』のあらすじはとても簡単。作者でもある主人公のダンテが、地獄・煉獄・天国を旅するという内容です。 神曲(講談社学術文庫)(ダンテ・アリギエリ,原基晶,実用,講談社,電子書籍)- ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能… 八光書房 北海道札幌市中央区 ¥ 1,000. ダンテは世界をどう描いたか : 新訳『神曲地獄篇』と、その解説. Amazonでダンテ, 平川 祐弘の神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)。アマゾンならポイント還元本が多数。ダンテ, 平川 祐弘作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)もアマゾン配送商品なら通常配送無料。 解説: イタリアの詩人ダンテ(1265~1321)が書いた「神曲」をテーマに、「Inferno(地獄)「Purgatorio(煉獄)」「The Ascension(昇天)」「Paradiso(天国)」の4つの楽章からできていて、その第1楽章が「地獄篇」です。 金や銀と引き換えに売りひさいでいる。 C 第四と第五の谷の間にプレギュアスが渡すステュクス川の流れ込む沼がある。, 地獄の内円/内門とディースの都市 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - 神曲の用語解説 - イタリアの詩人ダンテの叙事詩。 1307~21年作。「地獄編」 Inferno,「煉獄編」 Purgatorio,「天国編」 Paradisoの3部から構成され,各編が 33歌に分れ,地獄編の序詩を加えて 100歌,1万 4233行から成る。 続きを見る われを過ぎひとは亡者にいたる。 第八圏(悪の巣窟、マレボルジェ):他人を欺いた者 ... ダンテ神曲解説. 神曲、地獄篇。 政変によって都を追われ、流浪の身となったダンテは、その生きる力の矛先を文学に傾けた。その高圧電流のような幻視力は、700年の時を越えて現代に生きる我々を魅了、いや感電させ続ける。とりわけ、この地獄篇は。 原初の愛が、われを創った。 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - 神曲の用語解説 - イタリアの詩人ダンテの叙事詩。 1307~21年作。「地獄編」 Inferno,「煉獄編」 Purgatorio,「天国編」 Paradisoの3部から構成され,各編が 33歌に分れ,地獄編の序詩を加えて 100歌,1万 4233行から成る。 いまこそ宣告のラッパが高鳴ってしかるべき時だ。」(1-6/平川祐弘 訳), シモンとは聖フィリッポに洗礼を授けられたサマリアの魔術師だったが、使徒たちが手を置くことで「霊」が与えられるのを見て、金でその力を授けてもらえるように懇願したという。その記載が聖書の使徒言行録にある。(十九歌), 四の濠では生前未来を占った者たち、魔術妖術を行った者が、胴体に頭を前後逆さにつけられて後ろ向きに歩いている。テーバイを攻めた預言者アムピアラオス、オイディプスに予言したティレーシアスらが見える。(二十歌), 五の濠では汚職収賄の徒が煮えたぎる瀝青(チャン)の中に漬けられている。黒い鬼がルッカのサンタ・ジーラの長老の一人をそこに漬け、浮かび上がると百余りの鉤で頭を引っ掻けて沈めるのだ。(二十一歌), 同じ濠をダンテたちは10匹の鬼たちと進んだ。彼らが近づくと詐欺師の亡者たちは瀝青の中に身を潜める。だが、愚図っていれば鉤で吊し上げられた。そういった男の一人に上手く逃げられてしまうと鬼たちは互いに諍いを始めた。(二十二歌), ダンテたちは八の谷の六の濠へ逃げ延びた。そこでは、偽善者たちが外は金着せで、内は鉛という重い服を着せられてのろのろと歩いている。地面にはユダヤの大司祭カヤバが磔刑にされていた。(二十三歌), 七の濠では盗賊たちが毒蛇に咬まれ、責めさいなまれていた。咬まれれば、忽ち火を発し灰となって焼け落ちるのだ。ピストィアの教会堂から聖器類を盗み出したヴァンニ・フッチがダンテに予言する。白党の人々は皆傷つくだろうと。(二十四歌), 瀆神のフッチにそれ以上は言わさぬと蛇が絡みつき縛り上げるが、彼は逃げだし、その後をケンタウロスの一人カクスが追った。フィレンツェの三人の亡者のうちの二人に蛇が襲いかかる。一人には六つの脚を持つ大蛇が背後から締め付け、二つの姿は一つに融け合い見たこともない姿へと変わりはてた。もう一人には胡椒のような青黒い蛇がへそに噛みつくと、人は傷口から、蛇は口から煙を激しく吐き、蛇は人に人は蛇に成りまさっていったのである。(二十五歌), 八の濠にやって来た。谷あいには権謀術策を事とした亡者たちが一人ずつ焔にくるまれて焼かれていた。その中の一つは先が二つに割れて燃えている。トロイの木馬を企てたオデュセウスとディオメデスが二人一緒に焼かれていたからだった。(二十六歌), 別の焔がロマーニャの地の安否を問う。グィド・モンテフェルトロは、法王ボニファチオ八世にパレストリーナ陥落の策を教えた。グィドが死んだ時、聖フランチェスコが迎えに来てくれたが、黒天使の一人が彼に言った。連れていくな。おれの権利を侵すな。こいつは瞞着の助言をした上は俺の奴隷たちの間に落ちるのが定めだと。(二十七歌), 八の谷の九の濠。生前中傷し不仲を煽った亡者たちが、ある者は頤から屁をひるところまで真っ二つに裂かれ、ある者は咽喉を裂かれ、鼻をえぐられ、ある者は両手を切り取られていた。ダンテを見て「ああ」と叫ぶ者があった。イギリス王ヘンリー二世の王子に父への反逆をたきつけたベルトラン・ド・ボルンだった。切られた首を手に捧げ持っていた。(二十八歌), そこは八の谷の最後、十の濠。贋金作りを罰する悪疫の蔓延する谷だった。疥癬に苦しめられる者たちの内の一人が錬金術で贋金を作ったカポッキオの亡霊だった。(二十九歌), 飢えた豚が檻から解き放たれたようにある亡者はカポッキオのうなじに噛みついた。そして石だらけの谷底を腹這いのまま引きずっていった。それは他人の遺言状を偽造したジャンニ・スキッキだ。もう一人噛みついてまわる亡者は、父親に道ならぬ恋をいだき他人の姿に成りすましたキプロスの王女ミュラ。贋金作りたちは互いにいがみ合い、殴りあった。(三十歌), 角笛が聴こえるとわずかしかない視界に塔のようなものが聳えているのが見えた。巨人たちである。その中の一人アンタイオスに向ってウェルギリウスは冷気でコキュトスの水が凍っている地底に我々を降ろしてくれるように頼んだ。(三十一歌), 九の谷は裏切りの谷である。凍てついた厚いガラスのような氷に覆われた地は同心円状に四つに分かれている。第一の円はカインの国、カイーナと呼ばれる肉親を裏切った者の堕ちる所だ。第二の円はアンテノーラと呼ばれる祖国を裏切った者の行く所である。百姓女が落穂拾いを夢に見る頃、水中から顔だけ出してガアガアと鳴く蛙のように頬まで鉛色になり、歯をガチガチと鳴らす亡者たちが氷の中に浸かっている。ダンテはそんな頭につまずくのである。(三十二歌), これらの頭が並ぶ中に、一つの穴に二人が氷漬けになった者たちが見えた。飢えた男がパンを貪るように上になった方が下の者の脳蓋に噛みついている。噛みつきながら憎悪のたけをぶちまけていた。それは、ウゴリーノとルッジェーリ大司教の二人だった。, 三の円はトロメーアと呼ばれる。客人を裏切って殺したアルベリーゴやブランカ・ドーリアらが涙もろともに眼球を凍りつかせている。肉体はまだ地上にありながら彼らの魂はこの地へ堕ちている。13世紀末、ピサではグェルフィ党(教皇派)が主流で、その中でもウゴリーノ伯とその一族のニーノ・デ・ヴィスコンティの二つの派に分かれていた。一方、ギベリン党(皇帝派)の代表は同市の大司教ルッジェーリだった。市の覇権を握るためにウゴリーノはルッジェーリと共謀してニーノを追放するが、今度はルッジェーリがウゴリーノとその子、孫五名を塔に幽閉し、彼らは餓死するのである。こちらは史実だ。, オーギュスト・ロダン 『地獄門』 部分中央上 ウゴリーノと子供たち 中央下 パオロとフランチェスカ, 「この憂いの牢獄の中にも かすかな光がさして、四人の子供の顔にも この俺と同じような表情が見えた、 正義は至高の主を動かして、 導入(� ダンテズ・インフェルノ攻略. ダンテは世界をどう描いたか 新訳「神曲地獄篇」と、その解説 山田慶兒 装幀・挿画 北沢街子 編集グループSURE 2009年初版1刷 カバー上部にヨレあり。状態良いです。 刊行のごあいさつ 悪魔史における『神曲』 ダンテが「地獄篇」で描いた悪魔サタンの姿, 『神曲』のあらすじはとても簡単。作者でもある主人公のダンテが、地獄・煉獄・天国を旅するという内容です。 『神曲』の地獄篇をザックリ解説! 『神曲』の構成; ダンテ・アリギエーリはどんな人? 地獄篇はどんな物語? ダンテの地獄はどんなところ? 罰を与えるのはどんな存在? ダンテの地獄は他宗教の地獄とどういうところが違うの? 1.地獄からの脱出の可否 第二圏:淫乱 したがって地獄と同じく、都合九層になっている。これが煉獄山の構成である。それは人が住まない南半球にあるとされた。 神曲の構成はというと、全部で百歌からなり、地獄篇は三十四歌だけれど第一歌は総序の意味があるので三十三歌と考えられている。 山田流箏のかがみ 千鳥. ②-⑤ 第二の谷から第五の谷(それぞれ愛欲、飽食、貪欲、憤怒が罰せられる。 第六圏:異端者 Amazonでダンテ・アリギエリ, 原 基晶の神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)。アマゾンならポイント還元本が多数。ダンテ・アリギエリ, 原 基晶作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)もアマゾン配送商品なら通常配送無料。 ダンテ「神曲」(Commedia)レビュー・シリーズ、5回目である。大きく三つに別れるこの大作の「地獄篇」第10歌〜第12歌について紹介。なお「神曲」は序を含めて全部で100歌ある。 「地獄篇」第10 現代の地獄の概念を作ったとされるダンテの『神曲』。そしてこれを正確に再現したのがサンドロ・ボッティチェリの「地獄図(地獄の見取り図)」。9つに分かれた地獄とそれぞれの罪人たちの様子。この「地獄図」からそんな地獄の世界観が見て取れるのです。 あの憧れの微笑みにあのすばらしい恋人が接吻(くちづけ)る ダンテ「神曲」(Commedia)レビュー・シリーズ、5回目である。大きく三つに別れるこの大作の「地獄篇」第10歌〜第12歌について紹介。なお「神曲」は序を含めて全部で100歌ある。 「地獄篇」第10 神の権能と最高の知と 天使たちの群像、イエス・キリストを中心とした天国、地獄に引きずり落とされる人々などが描かれている。 「マタイによる福音書」に示される最後の審判を主題とし、ダンテの叙事詩『神曲』地獄篇からインスピレーションを得たとも言われる。 現代の地獄の概念を作ったとされるダンテの『神曲』。そしてこれを正確に再現したのがサンドロ・ボッティチェリの「地獄図(地獄の見取り図)」。9つに分かれた地獄とそれぞれの罪人たちの様子。この「地獄図」からそんな地獄の世界観が見て取れるのです。 続きを見る さて神曲の地獄篇レビューもだんだん佳境に入ってきた。 意外と面白くなるのはこの辺りからだ。 第7歌〜4つ目の谷 第4の谷に入るとプルートンという化け物らしきキャラクターがダンテとウェルギリウ … 第五圏:怒りと怠惰 われに先立った被造物とは 続きを見る. 「地獄篇」を読む前に 『神曲』「地獄篇」 (第1歌~第34歌) 各歌解説 訳者解説 新訳刊行にあたって 【内容】 古代詩人ウェルギリウスに導かれて巡る地獄 地獄では生前に悪をなした者達が、神による過酷きわまる制裁を受けていた。 こんにちは、いっくんです。今日は西洋絵画やハリウッド映画を観る上で基礎知識として欠かせない、ダンテの『神曲』〝地獄篇〟についてざっくりまとめます。いっくん映画や絵画を観る中で気になった時に参照してみてね。そもそも、『神曲』とは? 神曲 地獄篇・天獄篇・煉獄篇の3冊揃 新版. 怪物ゲリュオンによる降下↓ イタリア語は日本人にとって習得しやすい言語と言われています。ですが、日本と同じように多くの方言があり、イントネーションだけでなく言葉自体が違うなんてこともあります。今回はイタリアの方言についてご紹介します。 目次 イタリア語の歴史 ラテン語からの派生 だから○○が多い!! 方言(Dialetto) 何種類? トスカーナ語 ナポリ語 ヴェネト語 シチリア語 全く違う言葉 疑問 会話は成立するの?! さいごに 参照 イタリア語の歴史 ラテン語からの派生 まずはイタリア語の生まれた歴史を少し。なんとイタリア語は ... 目次 世界的な児童文学『ピノッキオの冒険』の広がり 作者のカルロ・コッローディとは 原作について テーマパーク 実写映画 絵文字翻訳 さいごに 参照 世界的な児童文学『ピノッキオの冒険』の広がり 世界中で今も読み継がれるイタリアが生んだ児童文学の傑作『ピノッキオの冒険』(Le avventure di Pinocchio)。 ディズニー映画『ピノキオ』をすぐに思い浮かべる方も多いかと思いますが、ここでは、ピノッキオに関するイタリアでの広がりの一部をご紹介します。 作者のカルロ・コッローディとは 『ピノッキ ... 前回の記事は、ヴェネツィアへの愛を叫ばせて頂きました。 今回は、イタリア人の性格について私の経験などから少し考察できればと思います。 イタリア人全員が全員、同じ性格という訳ではなく、勿論、人それぞれであるということを念頭に置いておきます。それでは、どうぞお付き合いのほどを。 目次 イタリア人って? なぜ、どうしてと思う出来事、そして疑問・不思議 ある夏の雨の日の出来事 イタリア人が集まると・・・大変です まとめ イタリア人って? 皆さん、イタリア人と聞くと、どのようなイメージをお持ちになりますか? 陽気で ... 言語学習者にとって、日頃の勉強の成果を発揮するため、また日々目標をもって勉強するための指針として、非常に重要な言語資格試験。 イタリア語においては、イタリア語検定とCILSの2種類があり、どちらも特徴があります。私も学生の頃にどちらも受験しました。しかし、このコロナ禍のご時世にあって、イタリア語検定が存続の危機にあるというのです。 イタリア語検定協会への寄付金をして、みんなで支援しませんか?という内容です!私も5,000円と少額ながら寄付させていただきました。 目次 イタリア語検定の危機と寄付金 イタリア ... 目次 ヴェネツィアでオンライン留学 どんな学校なの? 1.学校までの通学路 2.レッスンの様子 3.ヴェネツィアならではの多彩なコース 4.放課後はヴェネツィアを満喫!充実の課外活動 さいごに 関連記事 ヴェネツィアでオンライン留学 人気のカフェや魚、花などの露店が並び、地元の人や学生で賑わうサンタマルゲリータ広場に、ツタの葉が茂るルネサンス時代の宮殿があります。今年22年目を迎える、イタリア語語学学校【 Istituto VENEZIA : イスティトゥートヴェネチア 】です。 夏には、毎週約100人近 ... ドイツ文学やフランス文学に比べると、あまり触れる機会の多くないイタリア文学。そんな中、異例とも言える人気を集めている作品があるのをご存知でしょうか? リラとわたし (ナポリの物語(1)) created by Rinker ¥2,310 (2021/03/08 07:54:51時点 Amazon調べ-詳細) Kindle Amazon 楽天市場 Yahooショッピング 『リラとわたし ナポリの物語1』(早川書房、2016)は、飯田亮介さんの翻訳が第4回日本翻訳大賞の候補作になったことで ... 【トマト】Made in Italy、崩壊 中国産をイタリア産にすり替えるトリック, 雨天・曇天でも行く価値あり!チンクエテッレ(コルニーリア・マナローラ・ポルトヴェーネレ). 最新の研究の成果に基づく丁寧な解説。 神曲 地獄篇 / アリギエリ,ダンテ【著】/原 基晶【訳・解説】 - 紀伊國屋書店ウェブストア 当サイトを正常に閲覧いただくにはJavaScriptを有効にする必要があります。 天使たちの群像、イエス・キリストを中心とした天国、地獄に引きずり落とされる人々などが描かれている。「マタイによる福音書」に示される最後の審判を主題とし、ダンテの叙事詩『神曲』地獄篇からインスピレーションを得たとも言われる。 右側の善人は天国へ 左側の悪人は地獄へ. 撼させ続ける大作『神曲―地獄篇、煉獄篇、天国篇』を堂々の三部連続上演! イタリアの異才、カステルッチとソチエタス・ラファエロ・サンツィオ イタリアの異才アーティスト、ロメオ・カステルッチ率いるソチエタス・ラファエロ・サンツィオは、1981 解説: イタリアの詩人ダンテ(1265~1321)が書いた「神曲」をテーマに、「Inferno(地獄)「Purgatorio(煉獄)」「The Ascension(昇天)」「Paradiso(天国)」の4つの楽章からできていて、その第1楽章が「地獄篇」です。 ^ 河島訳は〈地獄篇〉が「図書」(岩波書店)で、2005年(平成17年)6月号より2008年(平成20年)6月号まで連載。〈煉獄篇〉は「図書」2011年1月号から2013年にかけ連載。三篇を完訳すれば、岩波書店で解説研究と併せ刊行予定(訳者は2018年5月に没した)。 ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『神曲』には、訳の古さ、原典の曖昧さ、訳語選択の問題など、それぞれに難点がある。 ああ冷酷な大地よ、なぜおまえは口を開かなかったのだ ? -第一小圏:暴君、殺人者、強盗 巨人アンタイオスによる降下↓ 解説: イタリアの詩人ダンテ(1265~1321)が書いた「神曲」をテーマに、「Inferno(地獄)「Purgatorio(煉獄)」「The Ascension(昇天)」「Paradiso(天国)」の4つの楽章からできていて、その第1楽章が「地獄篇」です。 五日目と六日目の間に、ほかの三人は一人また一人 俺の見ている前で倒れた。それから俺はもう目が見えなくなったが、一人一人手探りで探った、子供らが死んでから二日の間はその名を呼び続けた、それから、苦悩には負けなかった俺も絶食に敗れた。」(55-75/平川祐弘 訳)(三十三歌), 地獄篇最終歌、九の谷の第四円はユダの国ジュデッカと呼ばれ、恩人を裏切った者が全身を氷漬けにされている。ある者は横たわり、ある者は起立し、ある者は爪先立ちしていてガラスの下の藁のように透けてみえた。さらに奥に進むとこの苦悩の王国の帝王が見えた。胸の半ばから上を氷から出し、腕の長さは巨人の背丈を凌いでいる。三つ頭があり、中央は朱、右は白と黄色の間、左は黒色だった。蝙蝠のような羽で羽ばたくと風が起こり、コキュトスの水を全て凍らせていた。血の混じったよだれの垂れる口に罪人を一人ずつ咥え、かみ砕いている。中央は爪で裂かれて皮がはげ背骨が顕わになったユダ、黒い顔に咬まれているのはブルトゥス、もう一つの顔が噛み砕いているのは、やはりカエサルを裏切ったカシウスだった。(三十四歌), だがもう夜がまためぐってきた、いよいよ立ち去らねばぬらぬ、私たちは全てを見たのだ。そう言うとウェルギリウスはダンテを首に抱きつかせ魔王の脇腹から下の地殻へと降った。途中で脚と頭の位置を逆さにして今度は登った。それから岩の穴から出るとその縁に腰を下ろした。上を見るとなんと魔王ベルゼブルの脚が上に向って伸びている。, こうして聖金曜日の夕暮から始まった地獄への苦難の行旅は翌土曜日の夕方をもって丸一日の行程を終えたのである。穴から出た場所は、南半球であり、ユダの国の裏面にあたる。向うの夕方はこちらでは朝であった。岩間から聞こえるせせらぎの音をたよりにこの暗い道をひたすら上った。そして、円い孔から天上にある美しいものが見えた。そこを通って再び外へ出ると空に暁の明星を仰いだ。それは希望の星である。, さて、次回は12世紀の初頭に確立された領域と言われる煉獄が登場します。当時、人々は真面目に煉獄の場所は何処かと探したと言います。この世の何処かにあると考えられていた。それゆえダンテの煉獄篇にも星が見え、空が見えるのです。, 最後に今道さんが、地獄篇の冒頭のイタリア語を聴講者と朗唱している動画があるので興味のある方はご覧になってください。この人は語りの名手だということが良く分かります。, 時は、1300年の聖金曜日、ダンテは暗い森の中に行き暮れていた。あるのは、自分は誠の道を踏み外してしまったのだという悔恨だけだった。一匹の斑紋のある美しい豹に向いあったが、朝陽に救われた。今度は獅子が、続いて狼が現われた。色欲、権力欲、貧欲をそれぞれ象徴している。ダンテは谷底まで逃げる途中、「今は人ではないが、かつては人であった」者に出会った。これから永劫の場所へ連れて行ってやるという。それがローマの偉大なる詩人ウェルギリウスであった。彼については、, で書いておいたのでここでは繰り返さない。ホメロスをウェルギリウスは讃え、ウェルギリウスをダンテは手本とした。ここに三重の輪がある。(第一歌), 今道友信『ダンテ「神曲」講義』part2 煉獄篇 ―― ああ ! ⑨ 第九の谷 凍てついたコキュトスと呼ばれる地(裏切の四つの円/肉親・祖国・客人・主), サンドロ・ボッティチェリ『神曲』地獄図地獄の9つの圏谷を横から大地を透して描いている。, ダンテの構想した地獄は九つの谷、九層に分かれている。聖書外典のペテロの黙示録の影響もあると言われるが、それは独創的で精緻な構造の地獄である。そのような構造に史実や当時世を騒がせた風聞や醜聞を織り交ぜて現実感を持たせた。いささかは自らの溜飲を下げたことであろう。アリストテレスは、徳はブロネーシス(実践的理性)によってなるとし、悪徳はパヌウルギア(奸知)によって生まれるとした。実践知に長けた者は容易に奸知に陥る。地獄には大臣や教皇などの高位の人々も堕ちている。キケロは義務を重視し、「何に忠実であるか」つまり、「何が義務であるか」を間違えてはならないと言ったが、後にアベラールやトマス・アクィナスは、一番大切なものは志向性、つまり意図だとした。明確な悪意を伴う罪が最も重い。さらに重い罪は背信である。トマスは、アウグスティヌスの考えを受け継いで「人間は神に向けられて創られている」と言った。それゆえ、神に背くこと、裏切ることは最悪の罪であり、ダンテにとっても裏切りは最も重い罪なのである。, 三の濠には聖職売買の徒が罰せられている。ダンテの憤りは激しい。そこでは元法皇ニッコロ三世が穴の中に突っ込まれ燃える両脚をばたつかせていた。, 「おお魔術師シモン、おお哀れなシモンの徒よ ! ^ 『神曲 地獄篇』(藤谷道夫補訳・注解、河出書房新社、2018年6月)、他に粟津則雄『ダンテ地獄篇精読』(筑摩書房、1988年10月)が刊行。 ^ 河島訳は〈地獄篇〉が「図書」(岩波書店)で、2005年(平成17年)6月号より2008年(平成20年 「地獄篇」を読む前に 『神曲』「地獄篇」 (第1歌~第34歌) 各歌解説; 訳者解説 新訳刊行にあたって 【内容】 古代詩人ウェルギリウスに導かれて巡る地獄; 地獄では生前に悪をなした者達が、神による過酷きわまる制裁を受けていた。 すると子供たちは空腹のあまり イタリア・ルネサンス文化を支えた、詩人・哲学者として有名なダンテの代表作『神曲』をざっくり解説します。大人になるために必要な教養をサクッと身につけましょう。 本来は美徳と結ばれて花嫁となるべき 「地獄篇」を読む前に 『神曲』「地獄篇」 (第1歌~第34歌) 各歌解説; 訳者解説 新訳刊行にあたって 【内容】 古代詩人ウェルギリウスに導かれて巡る地獄; 地獄では生前に悪をなした者達が、神による過酷きわまる制裁を受けていた。 PS3 ダンテズ・インフェルノ神曲地獄編の攻略サイトです。その他も随時攻略中の総合ゲーム攻略サイトです . 神曲 地獄篇・天獄篇・煉獄篇の3冊揃 新版. 2015年9月に初めてイタリアへ。その後フィレンツェに留学し、近所のレストランのおじさんと仲良くなりながら、古都での生活を謳歌する。 次の一節で私どもは負けたのでございます。 -第三小圏:神を罵った者、同性愛者、銀行家 花の都フィレンツェを歩く②~チェントロ(中心街)~ その読書の途中、何度か私どもの視線がかちあい、そのたびに顔色が変わりましたが、 今道さんは、本書『ダンテ「神曲」講義』で、特に「天国篇」に関する解説を分かりやすくしてくださっている。 今回は平川祐弘さんの訳をもとに神曲全体は扱うけれど、特に天国篇をご紹介したいと … 第七圏:暴力者 -第二小圏:自殺、家産浪費 Upholding the Past / Staying in Tune with the Ever-Flowing Universe, 今道友信(いまみち とものぶ)さんの講演を聞くことができたことは、幸福な思い出となっている。今でも忘れがたい。2001年の北九州市立美術館での講演だと記憶している。演題は『東洋の美学――二十一世紀の課題として――』だった。その格調の高さと親しみやすさが入り混じった語り口、国内外の詩・文学を縦横に引用しながら全く違和感なく話の中に滑り込ませる力量にすぐに引き込まれた。こんな話ができたらいいなあと淡い憧れをいだいたものだ。講演の後、挨拶のような言葉を二言・三言交えた、そんな刹那が、代え難い瞬間になることもあるのだ。, 講演の中での驚天動地の言葉は、これだった。「日本が必ず21世紀に独立国として残るかどうか保証はないんですね。歴史を見ればどんな国でも800年も続いたという国は滅多にないのです。‥‥どうしても皆が守らなければならないのは私どもの、多くの方の母語である日本、これを大事に続けていかなければなりません。日本が国家として盛んになっても、日本語が乱れて日本の文化が無くなってしまうのだったら、滅びても日本語が残って、日本の文化が残っていることが余程人類のためになりますね。」今道さんは、自分は修道院に入ったこともあるけれど、召命がなくて世俗の中で哲学をするようになったとおっしゃっていた。カトリックの敬虔な信者であった。ダンテの神曲については、多くの本が書かれているのだろうけど、キリスト教の教義に関して、僕も含めて日本人は詳しくないと思う。それで、神曲の宗教哲学に関する部分は、不明なことが多い。今道さんは、本書『ダンテ「神曲」講義』で、特に「天国篇」に関する解説を分かりやすくしてくださっている。今回は平川祐弘さんの訳をもとに神曲全体は扱うけれど、特に天国篇をご紹介したいと思っている。, オーギスュスト・ロダン(1840-1917)『地獄門』石膏 1880-1917 オルセー美術館門の上の三人は象徴的な意味を持っている, 時は、1300年の聖金曜日、ダンテは暗い森の中に行き暮れていた。あるのは、自分は誠の道を踏み外してしまったのだという悔恨だけだった。一匹の斑紋のある美しい豹に向いあったが、朝陽に救われた。今度は獅子が、続いて狼が現われた。色欲、権力欲、貧欲をそれぞれ象徴している。ダンテは谷底まで逃げる途中、「今は人ではないが、かつては人であった」者に出会った。これから永劫の場所へ連れて行ってやるという。それがローマの偉大なる詩人ウェルギリウスであった。彼については、小川正廣 『ウェルギリウス研究 ローマ詩人の創造』 ホメロスとウェルギリウスで書いておいたのでここでは繰り返さない。ホメロスをウェルギリウスは讃え、ウェルギリウスをダンテは手本とした。ここに三重の輪がある。(第一歌), ダンテは1300年にフィレンツェのプリオーレ(長官)の職に選ばれた。こちらは史実である。この時、フィレンツェは神性ローマ帝国皇帝を支持する皇帝派のギベリン党と教皇を支持するグェルフィ党とが勢力を争っていたが、そのグェルフィ党も黒派と白派とに分裂した。黒派は白派と教皇との切り離しに成功する。ダンテは、この白派の指導者だったのである。彼は、欠席裁判により税金の使い込みと教皇に対する陰謀罪を問はれ、罰金と2年間の追放刑を宣告されたが、この裁定を不当として当局への出頭に応じず、1302年、3月15日に死刑(火刑)宣告され、4月4日にフィレンツェを脱出した。そして、ほぼイタリア全土を逃亡する者となり、フィレンツェに一度も帰ることなく、最後はラヴェンナで領主グィド・ダ・ポレンタにかくまわれ、子供たちと2年ほど一緒に暮らしたのち1321年に亡くなっている。1265年生まれだから56歳前後で亡くなったことになる。, ウェルギリウスへ地獄めぐりに対する不安を吐露するダンテだったが、天国にいる人たちが、自らも地獄めぐりの体験を持つヴェルギリウスに依頼したのだと語り、彼を安心させる。(第二歌), われを過ぎひとは嘆きの都市へ。 地獄と煉獄の接続は、下方へ降り切ったと同時に上に登るのですから、『神曲』の難解事項だと言われています。 その謎解きは次回以降にしますが、一応、『神曲』の全世界を下に載せておきます。 第三圏:飽食 [最後の審判の日に]皆と同様、私らも亡骸を探しに行くが誰一人それを身につけることはできない。自分で捨てたものをつけるのは道理にあわぬからだ。」(94-105/平川祐弘 訳), その時、木々の枝を折りながら、黒い牝犬に追い立てられてきた者があった。自分の財産を無理やり蕩尽した者が噛みつかれ、引き裂かれて悶絶した。別のもう一本の木は未来のフィレンツェの不幸を語る。(十三歌), 七の谷の二の円から荒涼とした砂漠である三の円へと至る。熱砂の上では神と自然の法に叛いた者たちが火の雪を浴びていた。その中にテーバイ攻めの7将の一人カバネウスが瀆神の言葉を吐き続けている。ウェルギリウスは、かつて清らかな世界であったクレタのイダ山とそこに聳えたつ巨人とその涙からなるアケロン、ステュクス、プレゲトンの三つの川について語る。(十四歌), 川沿いに進むと自然に叛いた性を望んだ者たちの群れが現われる。その中にダンテの師であり『宝辞典』を著したブルネット・ラティー二がいた。彼はダンテの将来を明かして身の処し方を諭す。(十五歌), 七の谷が終わり、八の谷に到る場所で、川は滝となる。そこでは、グィド・グエラら三人のフィレンツェの亡者たちと出会い、フィレンツェの成り上がった俄か大尽どもの気風を嘆いた。やがて深い谷に行きあうとヴェルギリウスはダンテの腰縄をその淵に投げ落とした。(十六歌), その淵から怪物ゲリュオンが現われた。ウェルギリウスはゲリュオンの手を借りて谷底に降ろしてもらう交渉を始める。その間にダンテは首から財嚢をぶら下げ、苦患の炎に身を焼かれる高利貸したちを見て回った。話はまとまり、ゲリュオンは二人を背に乗せ、苦悩の叫びを発する第八の谷に降りていった。(十七歌), 八の谷は十層のマレボルジュ[悪の濠]に分かれ、十種の罪人が罰せられている。全て鉄色をした岩からできている。絶壁に囲まれ、その魔性の荒野に巨大な穴がある。この魔性の荒野は十の濠に分かれていて、その濠を石橋が繋いでいる。一の濠では女衒たちが角を生やした鬼たちに鞭打たれていた。その中にボローニャの教皇党の首領の息子、ヴェネディーコ・カッチャネミーコがいた。エステ家のオビッツォ二世のために実の妹を斡旋したのだ。石橋の下では金羊毛のイアソンら女たらしと呼ばれた者たちがいる。二の壕には、ルッカの貴族アレッシオ・インテルミネイがいた。こんな所に俺が沈んだのは倦むこともないオベンチャラを繰り返したせいだと言う。そこには遊女タイスら阿諛追従の徒らが糞尿の中に沈んでいたのである。(十八歌), 地獄の外円
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